私が6歳の夏の日。
家族三人でドライブをしていた。
私はその頃、とても子供だった。
ただ、ただ、子供だった。
私は喉が乾いて
駄々をこね、お父さんとお母さんを困らせていた。
ちょうど、私たちがいた町は治安が悪かった。
でも、私は子供で我慢ができなかった。
泣いて、泣きわめいて、泣き叫んだ。
お母さんたちは困り果てて、車を止めてしまった。

そう。止めてしまったんだ。

あんな治安の悪いところで、
ただ一人の子供のわがままのために

次の瞬間

バリーーーーン

車の窓がいきおいよく割れた。


お父さんの足からは赤い液体が流れてる。
お母さんは泣き叫んでいた。
「子供を助けて」
と。