そこで、話したのは、

意外にも雷夢だった。


「それは、叶の両親がそれを望まないと思ったからだろ？…親父。」


「…そうだ。
あそこで言ってしまったら、叶ちゃんに迷惑がかかる。

これからずっと、叶ちゃんが他の組の人間に狙われてしまう。

だから、空と海がそれを望まないと思った。」


私は泣きながら首を大きく振った。


「そんなわけない！

そんなわけないよ。朝日さん！

だって、

あの時、お母さんたちは言ったんだもん


『これからは、朝日と夕日を頼りなさい。』

確かに、あの時、涙を流しながら言っていたよ。

記憶が無くなり覚えていなかったけど。

泣きながら、私を抱きしめながら、

そう言ってたんだから。」



「ごめん。ごめんな。」


泣きながら頭を下げる朝日さん。


そんな彼に私が頭を下げる。


「朝日さん。」

朝日さんは肩をビクつかせた。

そして、顔をあげた。


「朝日さん。ほんとにありがとうごさいました。」


感謝の言葉。

今まで私の周りで何も起こらず幸せに暮らせていたのは、

朝日さんのおかげ、

裏で手を回していたんだと思う。

だって、

一度は顔を見られた私が、安全なわけが無いのだから。


「それぐらいしか、罪滅ぼしができなかったんだよ。」


そう、苦笑いしながら朝日さんはいった。