咲side


俺は今、

電話を手に持っている。

「何する気だよ…。」



叶が初めて、自分のために頭を下げた。

しかし、

そのお願いが


『雷夢と朝日さんを呼んでください。』


心臓が止まるかと思った。

やつの名前をなぜ知ってるのか、

聞いても彼女は話さなかった。


ただ、

『二人が来たら、話すから。』


その一点張りだった。

叶がもう一度頭を下げたとき

愛ちゃんも一緒に頭を下げた。

二人にお願いされたら、断るわけにはいかなかった。



プルルルルッ …ガチャ


『はい。雷夢です。』


「叶が話したいそうだ。」


『叶が!起きたんですか!』


「そうだ。お前の父親と二人できてほし
いらしい。」


『え…。なぜですか。』


「知らない。
だが、呼んでいる。今から来れるか?」


『…。行きます。』


電話が切れた後も

叶が今から何をするのか、

気になって仕方がなかった。