咲side


叶がいきなり苦しみ出した。

俺は慌ててナースコールを押した。

先生と看護師が慌ただしく病室に入ってくる。


叶はなにかを一生懸命伝えようとしている


けれど、俺たち3人は病室の外に追い出されてしまった。



「あの、この金を受け取ってください。」


「は?」


俺は目を疑った。

しかし、すぐに正気に戻って



「いるか!そんな金!」

本当は死ぬほどほしい。

叶を救うのにとても大切な金。

だけど、彼に借りるわけにはいかないんだ




ガラッ


「中間さん!
いい加減にお金を!でなければ…
彼女は助かりませんよ!」


先生の声がした。


「中間さん!」


俺は




頭を下げた





「頼む。
金を貸してくれ。」


もう、こうするしかなかった。

すると彼は優しく笑った。

そして


「ありがとうございます。」

感謝の言葉を発した。




俺の手に、誰かの手が重なる。


「大丈夫。」

優しい笑顔を向けてくれる彼女もいる。

大丈夫。


叶なら、大丈夫。