「ど、どうしてここに!
え!!もしかして私、死んだの!」


ベシッ!


「痛っ!」


お母さんにチョップされた。


「なぁに、言ってるのよ!
あなたはまだ生きてるは。
下を見てみなさい。」


言われたとおり下を見ると、

そこには白い線のようなものがあった。


「これよりこっち側に来たらあなたは
死ぬわ。」

信じられなかった。

だって、目の前には
私の大好きな両親がいて、そっちに行けば私は死ぬと言われている。

「じゃあ、私はまだ死んでないの?」


「そうだよ。」

今度はお父さんが優しく答えた。

「そうなんだ。」


なぜか私は落ち着いていた。


「お父さん、お母さん。
ごめんなさい。」

私は謝った。

「何言ってるの?」


お母さんが少し怒ったようにいった。

「え?」


「あなたはちゃんと現実と向き合ってないわ。」


「現実と、向き合う?」



今度はお父さんが口を開いた。

「叶。思い出してごらん。
お前はちゃんと、覚えているはずだか
ら。」


そう言って、お母さんとお父さんは

私に手を伸ばして

頬に手を当てた。



何か懐かしいものが頭の中に入ってくる。




「叶。貴女は幸せになっていいのよ。」


そういう声がどこからか聞こえた気がした。