「ねぇ、どうして泣いてるの?」


そう、静かで、低く、そしてどこか冷めたような声。

私は、取り乱したりせず、その人を見た。
目が合った。

その人の目は、どこか茶色がかった、大きくも小さくもない普通の目。

でも、私はその瞳に吸い込まれそうになった。

けれど、


「泣きたいから。」

そう、笑顔を残して、私は屋上のドアを開けた。

私はさっきの人を見たことがない。

しかし、靴のラインが同じ色だったから同学年だろうと思った。