「あ、優衣じゃん!」

花恋はにっこり笑ったけれど、ひよはすぐに優衣の後ろを見た。

きっと、怖れていたんだろう。



俺が、いることを。



そして、ひよの顔が泣きそうに歪んで、全力で笑った。



「デートなの?」


言葉のひとつさえ、絞り出すのに時間がかかるほど、ひどく傷ついた目をしていた。



「そうだよー、デートっ」

優衣、気付けよ、いい加減にしろよ。

ひよが泣くのは、もう、見たくない。真摯に見つめようとする姿勢が痛々しくて。