「海くん、」 「おお、どしたん?」 階段を上がりかけていた海くんを呼び止める。 たぶん、初めて、好きな人の名前を呼んだ。 心臓がドキドキする。 「あのさ、 ……優衣と付き合ってるん?」 祈りを込めた。 「ああ…えっと、言わんといてほしいんやけど、」 あ、付き合ってるんだ。 そう思った瞬間、海くんの口からもっと残酷な言葉が出た。