あーあ、これって彼氏彼女がすることなんじゃないかな…。 海くんはすごく優しい。 誰にでも、変わらずに優しい。 だからほんとの気持ちが見えなくて、困る。 優衣にはどんな表情を見せるんだろう。 あたしには見せない顔があるのかな。 優衣だけに見せる、海くんの───。 「ひより、ボール!」 「へ!?あ、はいっ」 いきなり飛んできたバスケットボールを慌ててキャッチして、ドリブルしながらゴール下まで走る。 「ナイッシュー!」 スパン、という爽やかな音とともに、ボールがネットを抜けていった。