微熱で溶ける恋心



結局閉店30分後に来た彼は、


「ポークソテーじゃん」


美味そう、と僅かにご機嫌。



「美味いに決まってるじゃん」


「あーはいはい、そうですね」


雑な相槌を打ち、箸を進める。






「最近忙しかったの?」


「てか、ここにいなかった」


言わなかったっけ?と何気なく聞くその瞳を見て、すぐに嘘を吐いていると分かった。


こいつわざと私に隠していた。


「知らないよ」


「仙台でちょっと研修に行ってて」


あっそ、と気のない返事をした私。


彼は箸を置き、


「何?寂しかった?」


顔を覗き込んでくるそれをシャットダウン。


「な訳ないじゃん」


「意地張んなよ」


「張ってないって」


久々の逸平にペースを崩した。


だからつい、余計なことを言ってしまったんだ。




「逸平こそ彼女に寂しい思いさせてたんじゃない?」


和服美人の、と言った瞬間、彼の目の色が変わった。