微熱で溶ける恋心



今日も逸平は来なかった。


別に良いけどさ、でもあんまり間があいたから不安なだけ、と自分自身に言い訳をする。


本当、なにやってるんだ。




小さな溜息を吐いた瞬間、鳴った内線に多少憂鬱な気分で出れば、


「その声は川上」


ナイスタイミング、と笑ったのは1週間振りの彼の声だった。




「本日の営業は終了しました」


「まだ7時前だろ。早えーよ」


あぁ、何で今のタイミングかなぁ・・・


「何?」


「悪い、俺の分だけ取り置き頼める?」


間に合いそうにない、と切羽詰まった声。


「ん。テキトーに残しておく」


「悪い、なるべく早く行くから」


了解、と小さく呟き電話を切ろうとすると、




「あっ、もう一つ」


「ん?」


何だ、面倒な頼みじゃないと良いけど、と身構えると、彼はクスクス笑いながら、



「川上も取り置きね」


私の返事なんか聞かずに切る、その自陣満々な男に腹が立った。