「また新しいおもちゃ発見したんですね」
「うん。コタロウはどのおもちゃでも喜んでくれるから、こっちも見つけ甲斐がある。あ、でもこの前のは失敗だったよな」
「あー、ですね」
私は先週のことを思い出して、苦笑する。
虎谷先生が持ってきたのは、ねずみの形をしたおもちゃの中にガラガラと鳴る鈴が入ったおもちゃだった。
音が嫌いだったのか、ねずみのおもちゃが目の前をよぎるたびに、コタロウはフーッと声を出して警戒心バリバリだったのだ。
結局そのおもちゃは片付け、コタロウのお気に入りのおもちゃで遊んだのだった。
「やっぱりコタロウのお気に入りはこれか。何度出しても一番喜ぶし」
「……私、ちょっと苦手ですけどね。それ」
「ははっ。だよな。リアルだもんな」
虎谷先生が手のひらの上で揺らすのはリアルなねずみのおもちゃ。
これも虎谷先生が見つけて買ったものらしいけど、その見た目はリアルすぎて、私は積極的には触りたいとは思えなかった。
でもコタロウはすごく喜ぶから、完全に虎谷先生にお任せしている状態だ。
いろんなおもちゃをコタロウに買ってきてくれる虎谷先生に、「おもちゃのお金、払います」と言ったのは2ヶ月前のこと。
毎週のように新しいおもちゃが出てくるから、悪いと思ったのだ。
……だって、私はただの患者でしかないんだし、いくらコタロウのことを気に入ってくれているとは言っても、そこまでしてもらう理由もないから。
でも、虎谷先生から出てきた言葉は「俺が勝手にしてることだし、高いものでもないから、気にすんな」だった。
結局それ以上は言えなくなって今に至るんだけど。
でも思うんだ。
もし彼女とか奥さんがいたとしたら、こんな風に私の家で過ごすのは良くないんじゃないかって。
私と虎谷先生との間には何もないとは言っても、“彼女”にしてみれば浮気になるだろうし、”奥さん”にしてみれば不倫になってしまう気がして。
だからこそ、その存在を確かめる義務が私にはあると思うんだけど……。
なかなか聞き出せないんだよね……これがまた。

