キミとネコとひなたぼっこと。~クールな彼の猫可愛がり方法~

 

「うん。ありがとう。……ペットを飼ってる人っていろいろいてさ、坂本さんみたいにペットに愛情を注いでる人がもちろんダントツで多いんだけど、そうじゃない人も一部いるんだ。ペットをただのおもちゃだと思ってる人もいるし、何か理由があって仕方なしに飼ってあげてるんだって人もいるし。“ある人”はどちらかというとペットに愛情を注いでる人だった」

「……」


やっぱり今日の話だ、と確信する。


「ある事情があってさ、ペットが飼えなくなったらしくて。ペットをどうするかっていう選択を彼は決めて、病院に来た。事情は確かに頷けるものだし、それでペットを飼えなくなってしまうことは仕方のないことかもしれない、って気持ちはあったけど、その選択が……彼はペットの“安楽死”を選んだんだ」

「!」


虎谷先生の口から『安楽死』という言葉が出てきて、心臓が飛び跳ねてしまった。

私は何も言うことができず、ただ虎谷先生のことを見つめる。


「すぐそばに、膝の上にまだこれから先がある元気なペットがいるのに……じっと彼のことを見て話を聞いているのに、彼は簡単にその言葉を出してきた。言葉を聞いた途端、俺の中で何かが切れた気がした。その行動に対して、ただの人間のエゴだって、他にも選択はあるだろうって。最初は冷静に対応しようと思ってたけど、話しているうちにわかってくれないことについ熱くなったんだ。もちろん俺の考え方は正しいと思ってるし、間違ったことを言ったとも思ってない」

「……」

「でも、患者に対してその対応は獣医として失格だったかもしれない。堤先生だったら、たぶんもっとうまく説得させられたんじゃないかって……あの後すごく後悔した。堤先生にも指摘されたし……久々に自分の力のなさが情けないと思った。言葉が通じる相手なのに、それをうまく伝えることができないなんて」

「~~っ、そんなこと、……っ!」

「……うん、ありがとう」


何も言えずに首を横に振るしか能のない私に「ありがとう」なんてあたたかい言葉を掛けてくれる虎谷先生に、胸が熱くなった。