何だか誰も知らない先生の表情を独り占めしているみたいで嬉しくなって、「何でもないですよ」と言いながらもくすくすと笑ってしまう。
それに対して先生は「何だよー」と怪訝な表情をして問い掛けてくる。
「何でもないですって。あ、コタロウ起こします?もしかしたらちょっと機嫌悪くなっちゃうかもしれませんけど」
「いや、いいよ。気持ち良さそうに寝てるのに起こすのはかわいそうだから。コタロウ起きるまで待っててもいい?」
「もちろんいいですけど……でもコタいないと退屈じゃありません?うち、何もないし」
「退屈?坂本さんが相手してくれるんだろ?なら退屈になんてならないし」
「!は、はぁ」
「ソファ、座らせてもらってもいい?」と聞かれ、私は頷く。
相手するって言っても、何をすればいいの?得意芸なんて持ち合わせてないし。
……とりあえず、飲み物でも持ってこよう。
うん、それがいい!
キッチンに向かおうとした時、ふとコタロウのアルバムが目に入った。
いいものがあった!と私は手に取って、先生の元に向かう。
「これでも見ててください。コタロウのアルバムです」
「アルバム!?見る見る!」
「あ、ど、どうぞ」
予想していた以上に先生が食いついてきて喜んだから、私は少しだけ驚いてしまった。
でも、嬉しそうだしいっか、と渡す。
鼻歌を歌いだしてしまいそうな勢いでぱらぱらとアルバムを見始めた先生の姿を横目に、私まで顔を緩ませてしまいながらキッチンへ向かった。

