「先生、荷物……」
「うん、いいよ。持つ」
「……ありがとうございます」
「ほんとな、坂本さんには感謝してるよ」
「へっ?感謝なんてしてもらうようなことは何も」
「自覚ないんだ?いろいろ支えられてるから」
「……そ、それは良かった、です」
何で先生ってこんなに私を喜ばせることが得意なんだろう、と思ってしまう。
さらりと荷物を持ってくれて。
そして、「支えられてる」なんて言ってくれて。
顔が自然ににやけてしまうに決まってる。
顔を引き締めつつ、先生のことをちらりと見ると、先生も私を見ていて口を開く。
「まぁ……“いろいろ”が何かは言わねぇけど?」
「なっ、何ですかそれっ!気になるような言い方しないでくださいよっ!」
「くくっ。教えないー」
「もうっ、先生の意地悪!どうせ、からかうのがおもしろいとか、コタロウと遊ばせてもらえるからとか、そんなのでしょう!?」
「どうかなー。くくっ」
愉しそうに笑って私の顔を覗きこんでくる先生に、絶対にからかうのがおもしろいだけだ!と確信して口を尖らせてしまったけど、それはそれでいいかもしれないなと思うあたり、私は先生に心を惹かれているんだと思う。
……そう、これが気持ちの正体だ。
会ってから間もないというのにこんな気持ちを持ってしまうなんて、軽すぎるのかもしれないと思うけど、きっとそういうもので。
その気持ちが“ある形”になって名前がつくのは、時間の問題なんだと思う。

