「……待ってちゃダメですか?」
「え?」
「待ってます、から。コタロウと遊んでもらえませんか?ご迷惑、ですか?」
「いや、迷惑とか全然思わないけど……でもそれはさすがに悪いだろ?」
「私なら大丈夫です!だから、ね!コタロウも先生のこと大好きだから会いたいと思うし」
「……ほんとにいいの?」
「はい!」
「……じゃあ、お言葉に甘えて。ありがと」
ふと浮かんだ先生の笑顔に、どきん!と心臓が音をたてた。
先生の嬉しそうで柔らかい笑顔は私を一瞬で虜にする。
私の中に急激に高まっていくこの気持ちが抑えきれなくなりそうで、無意識に息を止めてしまっていたけど、「20分で戻るから!」という先生の言葉ではっとした私の中に空気が入り始めた。
20分なんてあっという間だった。
……それは先生のことをずっと考えていたからかもしれない。
私の中にある、虎谷先生へ向かう気持ちの正体のことを。
先生がいつものようにカジュアルな格好で走ってくる姿が目に入った瞬間、どきん!と心臓が音をたてた。
距離が縮まれば縮まるほどその鼓動は速くなっていく。
目の前に先生が笑顔で現れた瞬間には、私の心臓は周りに聞こえてしまうんじゃないかと思うくらい、ばくばくと大きな音をたてていたと思う。
太陽の光に照らされた先生の笑顔はキラキラしていた。
「ごめんな?待たせて」
「大丈夫です!いつも公園で30分とか余裕でぼんやりしてますし、全然苦痛じゃありませんから」
「そっか。なら良かった」
「は、はいっ」
先生の笑顔に顔が赤くなりそうなのを隠すようにして私はベンチから立って歩き始めると、先生もその後を続くようにして歩いてくる。
そして、私が持っていたコタロウのご飯を半ば奪うようにして、取られてしまった。

