何度目かわからないため息をハァとついて、どのくらい経ったのだろうかとふと目線を上げると、公園の外を歩く虎谷先生の姿が目に入ってきた。
「あっ」
つい声に出てしまって口元を手で押さえ周りを見渡したけど、その声は小さすぎて公園にいる人には聞こえなかったようだ。
虎谷先生のことを再び見ると、その姿は動物病院で見るのと同じで髪の毛を固めていて、服装もカジュアルなものではなく、Yシャツにジャケット、シンプルなチノパンというものだった。
いつものようにネコ探しの散歩ではなく、病院からの帰りだろう。
その表情はどこか暗く見えてしまって、心臓がどくんと重苦しく鼓動した。
どうしよう……話し掛ける?どうする?
あの様子だときっと今日は虎谷先生は公園には来ない。
今すぐ追いかけないと虎谷先生の姿を見失ってしまう……。
でも、会って何を言うの?
ただの患者という立場でしかない私に掛けられる言葉なんて……。
もやもやと悩んでいたけど、やっぱり先生のことが気になってしまった私は気付けば公園の入り口に向かって歩き始めていた。

