「っ」
「あ、そういえばさ」
「は、はい?」
「坂本さんって、“美夜子”って名前なんだね」
「!」
突然先生の視線が私を向き、先生に呼ばれた自分の名前に再び心臓が大きくドキッと跳ねる。
今は家族と友達しか呼ばないその名前を男の人に呼ばれるのは久しぶりすぎて、つい身体が勝手に反応してしまったのだ。
「そ、そうですけど……それが何か?」
「いや、さぁ……」
「……?」
口に手を当てて言いにくそうにする虎谷先生に、ドキドキしながら首を傾げると。
「ネコみたいな名前だよな~って思って」
「はいっ?」
「“みゃーこ&コタロウ”。ネコ姉弟の完成!」
「……」
どう聞いてもからかわれているとしか思えない言葉に、私は何も言えなかった。
いや、これはからかわれているというよりも……
「バカにしてます?」
「してないって。俺はいつだって本気だ。……くくっ」
「!ぜんっぜん、説得力ありません!」
「そ、そう?いいと思うのに……くくくっ」
「もうっ!虎谷先生っ!」
くすくすとおもしろ可笑しそうに笑う虎谷先生に私は怒鳴り付ける。
その声に反応したのか、コタロウがビクッと身体を震わせたけど、そのまま再び眠りの世界に落ちる。

