「来て早々だけど、コタロウと遊んでいい!?」
「!」
先生の口から出てきたお願いを聞いて、今はもうコタロウに触りたくてうずうずしているんだと感じた。
私は両手の平を空に向け、前に突き出すように動かす。
「ど、どうぞ……思う存分」
「マジでっ?ありがとう!」
「!」
私の返答が終わる前に虎谷先生がテンションの上がった声、そして嬉しそうな笑顔が浮かんだ。
それに対して、ドキン!と私の心臓が大きく跳ねた。
……何かこの前からずっと先生にドキドキさせられっぱなしのような気がする……。
そう、先生の素顔を知った時から。
「コタロウ。おいで」
戸惑っている私のことなんて気付くはずのない先生はすでにコタロウにロックオンしていて、コタロウの気を引くのに夢中だ。
でもコタロウは私の足元をくるくると回るのに夢中なのか、先生の方を見ようとしない。
すると、虎谷先生がおもむろにジーンズのポケットを探り始め、中から何かを取り出した。
ちゃりんという鍵の音に反応した私とコタロウは、何だろう?と首を傾げてじっと見る。
すると、虎谷先生が手の中にあった『それ』を、コタロウの目の前で揺らし始めた。
少しずつ窓際の広いところに移動していき、コタロウを呼び寄せる。
先生は位置を定めたのか足をぴたりと止め、コタロウをじっと見ながら上下に『それ』を動かし始めた。
反射反応なのか、コタロウはにゃっと鳴いて、上下に揺れる『それ』に向かってネコパンチを繰り広げ始める。
先生が意地悪に『それ』を動かすせいで、コタロウのパンチはクリーンヒットできないままだ。

