「うん。よく病院にもくるよ。脱走して怪我して帰ってきたから診て欲しいとか」
「やっぱりそうなんですね。私も気をつけなきゃ」
「うん。大切な家族だからな」
「……!はい」
先生がコタロウのことを“ペット”ではなく“大切な家族”と言ってくれたことが嬉しくて顔が緩んでしまった。
紛れもなく今の私のそばにいてくれる家族はコタロウで、いつも私を癒して助けてくれているから。
依存とまではいかないとは思うけど、今の私にとっては本当の家族と同じくらいいなくてはならない存在なんだ。
「でも、そっか。コタロウいないんだよな……」
「……先生?」
「あ、いや。うん」
少し寂しそうに笑った先生に首を傾げてしまったけど、ふと気付いた。
もしかして……
「先生」
「ん?」
「コタロウに会いたかったりしますか?」
「!いやー、ははっ」
「っ!」
照れたように笑い飛ばした先生の表情が何だかかわいくて、私の心臓がドキンと跳ねた。
やっぱりコタロウに会いたいんだ。
ネコが大好きって言ってたもんな……。
「先生って、本当にネコがお好きなんですね」
「うん。男なのに変だろ?恥ずかしいとかは全然ないんだけど、何となく堂々と公表できないっていうかさ。でも好きなんだよなー」
そう言って笑った虎谷先生はまるで少年のようで。
いつもとは全く違う表情に、私の心臓がまたドキリと跳ねた。
それは決して苦しいものではなく、心がぽかぽかとあたたかくなる感じがして、すごく心地いい。

