「……。」
さっきまで接していた“虎谷先生”とはあまりにも違う表情と態度に、私は答えられずに呆然と先生のことを見てしまう。
すると、痺れを切らしたらしい先生がコタロウが入っているキャリーバッグにすっと手を伸ばした。
「ごめん。待てない。コタロウ出すな」
「え、ちょっと……」
「ほら。コタロウ、おいで」
結局、虎谷先生は私の返事を待つことはなく、勝手にキャリーバッグの扉を開け、コタロウを片手でひょいと出した。
突然のことにコタロウは驚いたようでにゃおと鳴いたけど、暴れることはなく虎谷先生の手の中に大人しく抱かれている。
虎谷先生の手がコタロウのふわふわの毛をするすると撫でると、コタロウは尻尾をゆらゆらと揺らして気持ち良さそうな顔をした。
まさかコタロウに何かするつもりじゃ、と不安が走った時。
「好きで好きで、仕方ないんだよ」
「……はい?」
「ストッパー外したの、坂本さんだからな?」
「っ!」
コタロウを胸に抱えたまま、虎谷先生の視線が私の方を向く。
その真っ直ぐな瞳は私を惹きつける。
……目が離せない。
「好きなんだ」
熱っぽい瞳をした虎谷先生の告白にドクンと心臓が鼓動し、身体中の血がたぎったように熱くなった気がした。
全身が心臓になったみたいに、どくんどくんと鳴り響く。
……好き、って……私のことを?
嘘。ほんとに?

