「あ」
「い、樹さんっ!マサコちゃん吐いちゃいましたよ!どうしよう……っ」
「なんだ、良かった」
「えっ?」
「大丈夫だよ。これ、毛玉だから」
「……え、毛玉?」
「そう。ネコって舌を使って毛づくろいするだろ?そのままお腹に毛が溜まっていって、その毛玉を吐くことがあるんだ。コタは毛玉、吐いたことはない?」
「や、ないと思いますけど……。普通、毛玉って吐くものなんですか?」
「いや、吐かないこともあるよ。ちゃんと出してる場合はね」
「トイレで」と言って、樹さんはコタロウのトイレを指差す。
「あ、そういうこと、なんですね……」
「うん。今度見てみたらいいよ。毛が混ざってるはずだから。あ、そういえばこの前俺がトイレを片付けた時は混ざってたような気がするけど……一応今度見ておいて。一応聞くけど、コタは食欲がないとか、便秘になってるとかはないんだよな?」
「あ、はい。そうですね。むしろ、よく食べてよく出してよく遊んでよく寝てます」
身体は小さいし、臆病だけど、私が見てきた限りは健康そのものだと思う。
「うん、それなら大丈夫。コタは毛も短いし、みーこはブラッシングもちゃんとしてるだろ?遊ぶのが大好きでストレスも溜まってないだろうから毛繕いの時間もそんなに長くなさそうだし、俺が見る限り大丈夫なはずだよ」
「それは良かったです。ネコってちゃんと見ておかないといけないところがたくさんあるんですね……。知らなかったことばかりです」
「そんなに落ち込まなくても、今は大丈夫だし、みーこはコタのために必要なことをちゃんとやってるし、これから知っていったらいいよ」
「はい」と私が頷くと、樹さんの手が私の頭をよしよしと撫でた。
それと同時に安心感が私を包み込む。
「……それに」
「え?」
「俺もいるしさ」
「!……はい」

