「……伊野さん、俺もマサコちゃん触らせてもらってもいいですか?」
「もちろん。お好きなようにどうぞ~」
やっぱりネコ好きの血が騒ぐらしく、樹さんはマサコちゃんに触りたくてうずうずとした様子で璃世に許可をもらう。
そして、手を伸ばしてマサコちゃんに触れようとした時だった。
「わ!」
マサコちゃんがびくっと身体を震わせて私の腕の中から抜け出し、ぴゅん!と璃世の足元に移動してしまった。
「あら、どうしたの?マサコ。ほとんど人見知りなんてしないのに。ほら、イケメンのおにーさんに遊んでもらったら?」
「マサコちゃん、おいで?」
私もマサコちゃんを呼び寄せようとするけど、完全に璃世にぴったりと引っ付いてしまっていて、動こうとしない。
急にどうしたんだろう?
私、何か嫌われるようなことしちゃったのかな?
そう思っていると、璃世がマサコちゃんを抱き上げ、樹さんの目の前に差し出した。
「はい、どーぞ!センセイ!遊んでやってください~」
「あ、はぁ」
半分押し付けられるようにして、樹さんの腕の中にマサコちゃんが収まったけどそれは一瞬のことで、マサコちゃんはイヤイヤと身体をくねらせて、樹さんの腕の中から飛び出てしまった。
そして、次にマサコちゃんが向かったのは、コタロウにことごとく威嚇されきってガクリと床に両手をついてうなだれていた伊野局長の元だった。
局長はマサコちゃんが来てくれたことがすごく嬉しかったらしく、マサコちゃんを抱き上げ、頬をすりすりとすり寄せた。
……マサコちゃんがそうする前に。

