「えっ、伊野局長!?どうしたんですか!?」
「どうしたって、もちろん」
「あ、璃世ですか?ふふっ」
「あぁ。迎えに行くついでに、コンビニに寄ってきてってうるさくてさ」
「すみません。ありがとうございます」
「いや、いいんだけど。……で、そちらは?」
伊野局長は窺うようにして樹さんのことを見る。
「へ?璃世に聞いてません?」
「聞いてないけど……あぁ、もしかしなくても坂本さんの彼氏さん?」
「あっ、えっと」
何となく上司に向かって“彼氏”を紹介するのが照れ臭くて、私はそれ以上言葉を出せなかった。
そもそも、樹さんが彼氏という事実に未だに慣れていないのだ。
あわあわとしていると、樹さんが口を開いた。
「こんにちは。虎谷です」
「こんにちは。伊野です。坂本さんの上司であり、坂本さんの友人の旦那です」
「いつもお世話になっています」
「!」
「いえいえ、こちらこそ」
樹さんがまるで私の家族のように丁寧に挨拶をしたから、私は驚いてしまった。
な、何か……照れる……!

