……もしかして、二人は付き合ってない?
いや、でも、二人がブライダルサロンにいたのは事実だし、この会話だけじゃ付き合ってないとは言えない。
「もう十分だろ?気は済んだか?」
「……」
「それに、みーこをいじめていいのは俺だけって決まってんだから、もうこれ以上ちょっかい出すなよ」
「……はいっ!?」
急に樹さんの口から出てきたとんでもない発言に驚いてしまって、つい叫んでしまった。
「……もうっ、悔しいっ」
「何が悔しいのかわかんねぇけど、菜々には彰(あきら)がいるだろ?自分で選んだんだし、俺のことなんか構わずに彰だけ見てやれよ。そろそろあいつを楽にさせてやれ。彰のこと、ちゃんと好きなんだろ?」
「~~っ」
“彰”という名前が出てきた途端、西岡さんの頬がピンクに染まった。
西岡さんは睨むようにして、でも恥ずかしそうに口を開く。
「……樹のそういう全部お見通しって態度、嫌い!」
「はいはい」
「女にデレデレする樹なんて……、気持ち悪いんだから!」
「気持ち悪いって……さすがにそれは酷い言われようだな……。な、みーこ……って、え?」
「へっ?」
樹さんが私の向こう側を見て、大きく目を見開いた。
きょとんと樹さんのことを見てしまっていると。
「菜々!?おまえ、こんなところにっ!」
突然背後から聞こえてきた男の人の声に驚いてしまって、ビクッと私の身体が跳ねてしまう。
振り向こうとした時、西岡さんも樹さんと同じ方向に目を向けて、目を見開いているのが見えた。
その眉根にはシワを寄せて。
樹さんに見せていたものよりもいっそう険しい表情になった気がするのは気のせいではないと思う。

