「この前約束したよな?もう関わらないって」
「え?そんな約束したっけ~?」
「あのなぁ。いい加減にしろって」
呆れている様子の樹さんと、何かをしらばっくれているような態度の西岡さん。
会話を聞けば聞くほど、様子を見れば見るほど、二人の親密さが伝わってきて、その現実から目をそらしたくなる。
別れると決めたと言っても、私はまだ樹さんのことが好きなんだから、好きな人が他の女の人と仲良くしている姿を見るのは辛いに決まっているのだ。
でも、その反面、身体は動いてくれなかった。
この場から離れたい。
二人が仲良くしてる光景なんて見たくない。
そう思うのに、目がそらせないのだ。
はぁ、と再び樹さんがため息をついたのが目に入った。
「……何度も言ってるけど、俺が好きなのはみーこなんだよ。いい加減、わかってほしいんだけど」
「……!?」
樹さんの口から出てきた言葉に私は息を呑んでしまう。
……待って、今、『みーこのことが好き』って言わなかった?
それって私、だよね?
何でそんなことを言うの?
彼女の前なのに。
「……みーこを不安にさせたくないんだ。頼むからもう、掻き回すのやめてくれないか?」
……掻き回すって……西岡さんが何かをしてるってこと?
そう思った時、樹さんが真剣な表情を真っ直ぐ西岡さんに向けて、「頼む」とぺこっと頭を下げた。
「!?」
「!?な、何なのよ、それ!樹、いつから女のために頭を下げるような男になったの!?昔から飄々としてる樹がカッコよくて好きだったのに!そんな情けない樹なんて見たくない!」
頭を下げた樹さんに驚いたのは私だけではなくて、西岡さんもだったようで。
西岡さんは笑顔だったその表情を一気に怒ったような表情に変貌させて、わめくように樹さんに言葉を放つ。
そして、その勢いのまま、西岡さんが信じられないような言葉を言った。

