付き合い始めてから2ヶ月くらい経つけど、樹さんと手を繋いで歩くのは片手で数えられるくらいしかなくて。
触れている部分からどきどきが伝わってしまわないかと思っていると、樹さんの指が私の指に絡んだ。
「!」
「……何か照れる。ってガキみたいだな、俺」
ふと力が抜けるように笑って再びゆっくりと歩き始めた樹さんに、私の心臓は再びとくんと音をたてる。
橋から見えるのは岩の間を流れていく透明な水。
そして、その周りの緑。
水の流れる音と風に吹かれて揺れる緑の音のコラボは、私の心を癒してくれる。
このゆっくりとした時間がずっと続けばいいのに。
このまま樹さんとコタロウと3人で笑顔で過ごしていけたらいいのに。
そう思うけど、いつまでもこのぬくもりにしがみつくことはできないし、前に進むこともできない。
このまま居心地のいいこの場所に甘えていたら、もっと離れたくなくなる。
……もう終わりにしなきゃいけないんだ。
もう、終わりにしよう。
「……樹さん」
「ん?」
樹さんは遠くを見たまま答え、私からは表情が全く見えない。
今考えてることを口に出してしまったら、もう樹さんの笑顔を見ることができなくなるんだと思うと、寂しさが一気に私に襲いかかってきた。
私はふと目線を落とし、さっき見せてくれた笑顔を脳裏に浮かべ、小さく深呼吸をした。
ちゃんと、言わなきゃ。

