キミとネコとひなたぼっこと。~クールな彼の猫可愛がり方法~

 



太陽はすっかり低い位置に移動してしまって、ひんやりとした風が街を吹き抜けていく。

ついこの前まで暑い日々が続いていたはずなのに、気がつけば少しずつ寒い季節に向かい始めていた。


「だいぶ涼しくなったよなー」

「……はい」


私と樹さんはどこを目指すこともなく、ゆっくりと歩いていた。

私は少しだけ樹さんの後ろを歩く。

横に並びたくないとかではなくて、この位置がいつもの私の居場所で、樹さんの少し後ろからの横顔が見えるこの場所が大好きだからだ。

こんな風に散歩するのは初めてだった。

いつもは公園から私の家まで5分という短い距離を歩くくらいで、コタロウの話から他愛のない話までゆるりゆるりとおしゃべりをしているけど、今は特に言葉もなく目的地もなく無言のままてくてくと歩き続けていた。


「みーこ」

「へ?」


ある橋を通りがかった時、突然樹さんの足が止まり、上から優しい声が降ってきた。

それとともに……差し出される手。


「手、繋ご?」

「……はい」


少し戸惑ってしまったけど、私が頷くと樹さんは嬉しそうににこっと笑ってくれた。

その表情がすごく好きで、胸がきゅんとして……私は余計なことは考えずに、その手に触れた。

……ただ触れたいという気持ちが強くて、人の目なんて気にならなかった。