「……樹さん、聞いてもいいですか?」
「ん?」
「先週の土曜日ってお仕事だったんですか?」
「え?先週?えっと……あ、いや。先週は高校の時の友達と会ってたんだ。それがどうかした?」
「……そう、ですか」
樹さんの答えに、私は目を伏せる。
やっぱり本当のことは教えてくれないんだ。
「何?何か疑ってた?俺が浮気してるかもって」
「っ!!」
樹さんの冗談めいた声色での言葉に、私はびくっと身体を固まらせてしまう。
樹さんは私の頭に手を伸ばしてきて、するりと髪の毛を掬い取り、くすりと笑った。
「くくっ。本気で“そう思ってました”みたいな顔すんなよ。みーこがいるのに、浮気なんてするわけないだろ?」
「……」
樹さんの手は私の髪の毛をくるくると指に巻いたりピンッと弾ませたりして、愉しそうな表情でもてあそぶ。
くすぐったいなんて思う余裕はなくて、私は樹さんの私をからかう時に見せる笑顔をぼんやりと見ていた。
どこまで樹さんは私に嘘をつき続けるのだろうか?
こんなにも自然に嘘をつく樹さんは一体何を考えているのだろう?
「またそんな顔して。襲いたくなる」
くくっと笑った樹さんが近付いてきてキスされそうになったけど、私は樹さんの胸を押して拒否した。

