ゆっくりと診察室に入ると、診察台の上にちょこんと乗った、治療中に付けられていたわっかを首に付けているコタロウの後ろ姿が見えた。
そして、怪我をしていた足に巻かれていると思われる真っ白な包帯の端がちょろっと見えている。
「コタロウ……?」
私が思わずその名前を呼ぶと、コタロウがぴくっと身体を揺らして私の方に顔を向け、にゃお~と鳴いて立ち上がろうとしたけど、「ダメだよ」という言葉と共に虎谷先生の手によって阻まれる。
動くことを止められるように虎谷先生の腕に抱かれてしまい、その中で身じろぎするコタロウはすごく不満そうだ。
私がそばまで来るとコタロウは安心したのか、動くのをやめた。
そのまま虎谷先生の手はコタロウをゆっくりと診察台の上に戻す。
「コタロウくんですが、傷口は縫合していますので、塞がるまでは安静にさせてください。ただ、ネコちゃんは動きたがりますから、無理に動かさないようにするのはストレスになるだけなので、適度に歩かせたりして様子を見てあげてください」
「縫合……?」
「はい。そんなには深くはありませんでしたが、傷が少し大きかったので数針縫っています。今は麻酔も効いているので痛みはないと思いますが、麻酔が切れたら気にしだすと思いますので」
「……あの、それって……傷が塞がれば今まで通りに元気に動けるようになるんですよね?」
「もちろんです。幸運にも神経は傷ついてませんでしたし、すぐに元気に走り回れるようになります」
「……そう、ですか……良かった……っ」
私はほっとして診察台の上で大人しく伏せていたコタロウの身体に触れる。
するとコタロウは気持ち良さそうな顔でごろごろと鳴いた。
この小さな存在を失わなくて本当に良かった……。

