付き合い始めてから樹さんがプレゼントしてくれたシンプルなペアカップに紅茶を入れて、私は樹さんとコタロウの待つリビングに戻った。
これを使うのも今日で最後なんだなと思うと、一気に寂しさが襲ってくる。
でも、まだもう少し時間はある、と私は首を横に振る。
リビングを覗いた時、てっきりふたりで仲良く遊んでいると思っていたけど、そこにいたのは。
「……あ」
……かわいい。
ソファに寄りかかってうたた寝をしている樹さんと、ソファの上に足を投げ出して横たわっておもちゃのねずみを抱くようにしてすぴすぴと寝ているコタロウがいた。
ほんの10分しか経っていないのに、いつの間に寝てしまったのだろうか。
私はふたりを起こさないようにそっとテーブルの上にカップを置く。
テーブルの上に肘を突いて、私はふたりのことを見つめる。
涙が出そうになるくらい、幸せな時間。
数ヶ月前まではコタロウがいるだけでも幸せだと思っていたのに、今は好きな人もそばにいてくれて。
ふたりとも私にとって、すごく大切な存在。
……このままずっとこの幸せな時間が続けばいいのにって心から思う。
一緒にいればいるほど、私は欲張りになっていった私の心。
……ズルくなってしまった私の心。
それも、もうすぐ、終わりを迎える。
「……樹さん、ありがとう」
私は樹さんに向かってポツリと呟く。
でもその声は樹さんには届いていないだろう。
樹さんは寝てるし、もし起きていても聞こえないくらいの声の大きさだったから。

