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璃世と別れた後、私はウィンドウショッピングをしていた。
まだコタロウはお留守番できるだろうし、街に出たついでに洋服でも買えたらいいなという軽い気持ちでブラブラと歩く。
気も紛れる。
私が住んでいるところは郊外で、郊外特有の隠れ家的なお店や好きなお店もあったりもするけど、やっぱり地域で一番の繁華街に出れば空気も雰囲気ももちろん置いているものも一気に変わって、また楽しいものだ。
あまりオシャレには興味はない方だけど、私も普通の女のようで、少しでも樹さんに見合うような格好ができたらいいな、と最近は思うようになっていた。
……とは言っても、公園デートやおうちデートが多いからオシャレも何もないんだけど。
それでもいいんだ。
他の誰でもない樹さんに少しでもかわいいって思われたいのだ。
ふとウィンドウに飾られたマネキンに目がとまる。
ブラウンを基調とした秋物のナチュラル系の装いをしていて、素朴ながらも女子力の高さを想像させる。
このアウターかわいいな。
マネキンはスカートを合わせているけど、これなら今持ってる細身のパンツにも合いそう。
試着してみようかな、と私がそのお店に引き寄せられるように入ろうとした時、ふと隣にあるブライダルサロンでキラキラと光る鏡が見えた。
そして、そこにいるのは純白のウエディングドレスを着たすらりとした女性の後ろ姿。
その背中のラインがすごくキレイでつい見入ってしまう。
自分が着ている姿は想像できないけど、何だかんだでやっぱり“結婚”というものには憧れがあって、いつかは……なんて思ってしまうものなんだ。
それと同時に、私の頭の中に浮かんでしまったのは樹さんと西岡さんの噂話と……罪悪感だった。
まさにここは“結婚式のドレスを試着する場所”だからだ。
幸せいっぱいの場所なのに、それを目にしている私の心は罪悪感でいっぱいだなんて……。
ごめんなさい、と思うしかない。
はぁと息をついてしまった時、ウェディングドレスを着ている女性の横顔が目に入った。

