「樹さん……」
「まさかあんなところで言うとは思わなかったから、めちゃくちゃ焦った。みーこは患者として来てたし、変に否定するのも逆におかしいと思って、あの場では何も言えなかったんだ。ごめん」
「……」
「……みーこには嘘はつきたくないから言うけど、西岡さんが言ったことは本当だよ」
「!」
それって……そういうことなの?
西岡さんが言っていたことが本当のことで、樹さんが今まで言ってくれていた言葉が嘘だったってこと……?
でも、嘘はつきたくないって……どういうこと?
何が本当で、何が嘘なの?
もう意味がわからないよ……。
何もかもが見えなくなって、足元が少しずつ崩れていく感じがした。
少し足をずらせばどこかに落ちてしまうような気がして、怖い。
何かに寄りかかりたい気持ちになるけど、目の前にある安心できるはずの樹さんの胸の中にはもう、飛び込むことはできない。
私には……その権利がないかもしれないのだから。
「確かに、一昨日は西岡さんと晩飯食いに行ったんだ。って言っても、堤先生とか他のスタッフもいたけどな」
「……へ?」
「うん。心配しなくても、二人で行ったわけじゃないから」
「……本当に?」
「うん。ほんとに」
「~~!」
樹さんの少し困ったような笑顔と言葉に私はホッとする。
じゃあ、私が思っていた通り、二人でご飯に行ったわけじゃなかったんだ……。
良かった……って、樹さんのことを信じてもいいんだよね?
この言葉が嘘だってことはないよね……?

