「……気にしてるかもって思って」
「え?」
「西岡さんのこと」
「!」
樹さんの口から西岡さんの名前が出てきて、つい息を呑んでしまった。
やっぱり樹さんは西岡さんの話をするために、ここに来たんだとわかったから。
冷静に、冷静に、と必死に気持ちを落ち着かせながら、私は樹さんの身体をそっと離して樹さんの顔を見上げ、取り繕って口を開いた。
「西岡さんって何のことですか?私は別に、何も気にしてないですよ?」
できるだけ明るく言ったけど、もちろんそんなのは嘘だった。
気になって気になって仕方がない。
樹さんと西岡さんの関係は樹さんが言ってたようにただの同僚なの?
それとも……
後者を考えると一気に不安が襲ってきて、俯きそうになる。
でも、そんなことをしたら私が気にしてるということがバレてしまうからと、私は必死に笑顔を作った。
樹さんは私の心を読む天才だから、今の気持ちがバレませんようにと強く願いながら。
樹さんはじっと私の顔を見つめた後、おでこをコツンとぶつけてきた。
私はその軽い衝撃に目をぎゅっと閉じてしまう。
「……ごめんな?やっぱり不安にさせたよな?」
「えっ?」
私以上に不安そうなその声に気付いて目線を上げると、樹さんの目線とぶつかった。
あまりの距離の近さに恥ずかしさが襲ってくるけど、樹さんの表情が声と同じように不安そうで、目を離すことができなかった。
……何で樹さんがそんな顔するの?

