「コタロウは変わりない?注射の副作用とかなかった?」
先生は洗面所の方に行き、手を洗って戻ってくる。
「大丈夫です。昨日はやっぱりだるかったみたいで寝てる時間が多かったですけど、今は元気におもちゃで遊んでますから」
「そっか。体調崩す子がいたりするから、ちょっと心配してたんだ。元気なら良かった」
私は玄関のドアの鍵を閉め、気になっていたことを樹さんに尋ねる。
「あの、何かあったんですか?急に来るなんて」
「え?……いや、ううん」
ドアから家の中の方に振り返ると、そこには樹さんが私のことを待ってくれているかのように、私の方を向いていた。
「樹さん……?」
「いや、何もないことはないか。無性にみーこの顔が見たくなってさ、気付いたらここに来てた」
「!……またそんなこと言って、私を困らせようとするんですね」
「困らせようとしてるわけじゃなくて、本音だって」
「ひゃ……っ!」
樹さんの手が私に伸びてきて、ふわりとその腕に私の身体が包まれる。
そのぬくもりにすがりたいと思ったけど、頭の中に“西岡さんとの結婚”の話が浮かんでしまって、素直に寄り沿うことができなかった。
……私はどうしたらいいんだろう。

