気付けば、私の住むアパートはすぐそこだった。
先生のことでいっぱいになってしまっていた私の頭の中に、コタロウの可愛い姿がほわんと浮かぶ。
そうだ。コタロウも先生と会うのは久しぶりなんだ。
きっと喜んでくれるよね。
何よりも私が、ふたりが遊んでいる姿を早く見たい。
先生の登場に喜んで目をキラキラさせているコタロウと、そのコタロウと遊ぶ先生の姿を想像すると、自然と笑みが零れてしまう。
あぁ、早くふたりが遊んでいる姿を見たい!
私はアパートの階段を上りながら、そんなわくわくとした気持ちを高めていく。
そんな私の後ろには先生の存在を感じながら。
部屋の前に着き、コタロウのことを思いながらバッグの中から鍵を取り出して開けようとドアノブに触れた瞬間、虎谷先生の手が私の手を包み込んだ。
「えっ?」
突然の先生の行動に私ははっと顔を上げると、少し拗ねたような表情の先生がいた。
今の今まで飄々としていたのに、この短い時間の間に何があったんだろうか?
「せ、先生?どうしたんですか?」
「……妬けるよなぁ」
「え?」
ふと視界が暗くなったと思ったら、唇に何かがちゅっと触れた。
……言うまでもなく、それは先生の唇だ。
「!」
「あー足りない。全然足りないけど、さすがにここで押し倒すわけにもいかねぇし……もう少し我慢、我慢。耐えろ、俺」
「!な、何言って……!っていうか、何するんですかっ!こんなところで!誰かに見られたらどうするんですか……っ!?」
もし近所の人に見られてしまっていたらと思うと、顔がかーっと一気に熱くなった。
外を堂々と歩けなくなるじゃない……!

