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「すみません!診てもらいたいんですけどっ」
私は他人の目を気にする余裕もなくそこにバタバタと駆け込み、一目散に受付に向かった。
私の様子に動じることなく、そこの……“つつみぎ動物病院”のスタッフさんが窓口の向こうから顔を出してくる。
「どうされました?」
「こ、コタ……、う、うちのネコが怪我して、血が……っ」
「落ち着かれてくださいね?ちょっとネコちゃんの様子を見せてくださいね」
「あっ、はい……っ」
スタッフさんが受付の部屋から出てきてくれて、私は促されるままコタロウが入っているネコ用のキャリーバッグを差し出した。
……少しは冷静さが残っていたようで、私はコタロウの負担にならないようにキャリーバッグを使ってコタロウをここまで連れてきたのだ。
逃げ出さないためのリードももちろん着けて。
道すがら、何度もバッグの窓からコタロウの様子を窺いながらここまで辿りついた。
スタッフさんが「失礼しますね」と言ってバッグを開き、その中にいるコタロウのことを覗き込む。
すると、中にいるコタロウがビクッと身体を震わせ、フーッと言いながら毛を立たせた。
「あっ、コタ……っ」
「あらあら。突然知らない人が現れて驚いたかしら?ネコちゃんのお名前は?」
「コタロウ、です」
「コタロウくん、大丈夫だからねー」
スタッフさんが優しく声を掛けながらコタロウに触れようとするけど、警戒心を一度出してしまったコタロウはただフーッと唸るだけだ。
それにも動じず、スタッフさんは近付かれるのを嫌がるコタロウの後ろ首を掴んで足に触れ、巻いていたタオルをそっと外して、真剣な表情で様子を確認している。

