「……先生はズルイです……もうっ」
「どっちがだよ。俺に言わせっぱなしの坂本さんの方がズルイだろ?」
「な……っ!言わせっぱなしって、先生が勝手に……!」
「そんなことねぇって。でもまぁ、もう逃がす気はないから、覚悟して」
「っ、やっぱりズルイ!」
にっこりと余裕の顔で笑ってきた先生に対して私は吠えた。けど。
「っ!」
虎谷先生の手が私の手に絡み、再び引き寄せられる。
その距離は触れそうなくらい、吐息を感じてしまうくらい近くて、私は先生の顔を見れずに俯いてしまった。
「……教えてよ。坂本さんの気持ち」
すぐ上から低音の声が降ってきて、私の心臓はどくんと跳ねる。
苦しいくらいに心臓がどきどきしていて、なのにきゅうっと締め付けられる感覚がして……涙が出そうになる。
それは先生に対して抑えきれないくらいの気持ちを持っているから。
先生は本当にズルイ。
……でも、手を伸ばせばすぐに届く距離にいるのに、私はそれを逃すことなんてできない。
先生にもっと近付きたい。
……それが、本音だ。

