「やっぱり、からか」
「からかってない」
「ん……っ!?」
突然視界が暗くなったかと思えば、私の目の前には目を閉じた虎谷先生の顔があって。
触れるのは、唇。
食むようにされて離れたかと思えば、また、触れる。
「とら……っん、」
先生の大きな手は私の後頭部をとらえていて、私は逃げることができずにされるがままだ。
……先生からされるキスはあたたかくて、やわらかくて。
何度も何度も、私に触れてくる。
触れているだけなのに、私を溺れさせるには十分のものだった。
気付けばそのキスに酔いしれるように、私は目を閉じていた。
息が苦しくなってきた頃、先生の唇が私から離れた。
「はぁ……っ」
乱れた息をついてしまいながらゆっくりと目を開けると、そこには先生の憂いを含んだ表情があって、私は思わず俯いてしまう。
「っ!」
……そ、そんな顔するなんて、反則……!
「……やっぱり俺の片想い?」
「!」
「まぁ、片想いだとしても、気持ちを伝えたからには何をしてでも絶対振り向かせるけど」
「!!」
自信満々すぎる言葉に、私はびくっと身体を震わせて先生の顔を見てしまう。
その表情にはいつの間にか意地悪な笑顔が浮かんでいる。
な、「何をしてでも」って何!?
「……でも、そうするのはさっきの言葉の意味を聞いてから。もったいぶらずに、いい加減教えてよ。じゃないと……もっとキスするよ?腰が抜けるくらいの、さっきよりも濃厚なやつをしようか?」
「!!ばっ、バカなこと言わないでください!」
「いや、本気だし。振り向かせるためには何でもするって言っただろ?俺、有言実行タイプだから」
「や、それ胸張って言うセリフじゃ……」
にやりと笑いかけてくる先生に突っ込みを入れるけど、そんなのはお構いなしに、先生は思いのままに飄々と話を展開させていく。

