二人の言葉を天秤にかけてしまうと……ダメ、虎谷先生のことを信じたいと思ってしまう私がいる。
もし先生が嘘をついているとしたら、傷付くのは自分なんだよ?
それと同時に西岡さんも傷付く。
何も信じずに先生のことを忘れることが、私も西岡さんも傷つかない方法なのに……。
今のままいるのが、一番なんだ……。
「とにかく、それ本当に違うから。俺、もう5年くらいはずっと彼女いないし。前に言ったと思うけど獣医の仕事は楽しいし、たまに入る研修で動物に触れたり勉強させてもらえるのが楽しくて仕方がなくて、ここ数年は彼女が欲しいなんて全く思ってなかったんだ」
「……」
「……坂本さんに会うまでは、な」
「っ!」
「こんな気持ちは久しぶりなんだよ。……もっと坂本さんと一緒にいたいし、坂本さんのことをもっと知りたい」
その言葉から先生の気持ちがすごく伝わってきて、気持ちが揺らいでしまいそうになる。
だって、それは私も同じ気持ちだから。
でも……。
「もう、坂本さんに会えない時間が続くのが嫌なんだ」
「……っ」
「俺のこと、信じてよ」
先生の腕に力がこもり、思わずその胸の中に飛び込みたい衝動に駆られてしまう。
身体も心も勝手に先生に向かって動きそうになる。
このまま身体の動くままに素直に頷いてしまった方が楽になれるかもしれないけど、リスクがあまりにも大きすぎる。

