突然目の前が暗くなったのを感じるとともに、先生に抱きしめられていることに気付く。
離れようと身体を動かしたけど、先生の腕の力は強くて、それは叶わなかった。
ここまで言ってもこんなことをするの?
もう、先生のことが信じられないよ……っ。
「坂本さん、落ち着いて聞いて。俺は彼女なんていない。西岡さんと付き合ってなんかないから」
「……!?」
「信じてよ。俺が好きなのは他の誰でもない、坂本さんだけだ。冗談でもなんでもなく、坂本さんのことが好きなんだよ」
信じられない、と私は首を横に振る。
「だ、だって、西岡さんは指輪をしてたし、今から虎谷先生のところに行くって、すごく幸せそうで嬉しそうにしてたんですよ?嘘をついてるなんて思えなかった。何よりもこの前二人は仲良さそうに一緒に歩いていて……それが二人が付き合ってるっていう何よりの証拠で……っ」
「西岡さんには悪いけど、指輪とか俺のところに来るとか、そんなのは全く身に覚えがないし、付き合ってもない。確かに時間が合えばたまに一緒に帰ったりもするし、たまに西岡さんが触れてくることがあるのは否定しないけど……西岡さんはただの同僚だよ。ただの仕事仲間だ。ていうか、俺の知らないところで散々な嘘つかれてんな……ったく」
私のすぐ上で、はぁと虎谷先生が息をつく。
どういうこと?
西岡さんが言ったことが嘘だったってことなの?
それとも、虎谷先生がまだしらばっくれていて、西岡さんを悪者にしようとしてるの?
どっちの言葉が本当なの?
私はどっちを信じればいいの?

