キミとネコとひなたぼっこと。~クールな彼の猫可愛がり方法~

 

近付いても立ち上がろうとしないコタロウの様子をよく見ようと私はしゃがみこむ。

日差しが当たって温かそうなコタロウの背中をするりと撫でると、コタロウの身体がビクッと震え、にゃっと濁った鳴き声を上げた。


「えっ?どうしたの?痛かった?」


そんなに強く撫でた覚えなんてないのに……。

めったに聞かない鳴き声に私は焦った。

潤んだ大きな瞳が私をじっと見つめた後、ゴロゴロと喉を鳴らしながら、顎をベランダの床にぺたっとつけてしまった。

その表情にはさっきまで見せてくれていた元気が全くなかった。

具合でも悪いのかな、と私に不安が襲いかかってくる。


「コタ、具合悪いの?お部屋に入ろうか」


とりあえず部屋に入れて柔らかいラグマットの上にでも寝せてあげようと私がコタロウを抱き上げると、コタロウが再びにゃっと濁った声で鳴いた。

私ははっとコタロウのことを見る。


「っ!?」


目に映った光景に言葉が出なかった。

私の目に映ったのは、いつもは真っ白なコタロウの前足が赤い鮮血に濡れている光景だったのだ。

何これ……どうして!?何があったの……!?

呆然と見てしまうだけで動くことのできなかった私に向かって、コタロウがまるで助けを求めるようにごろごろと喉を鳴らした。

その声に私ははっとする。


「びょ、病院……!あと、タオル!」


私はコタロウに振動を与えないように部屋の中に入って窓のすぐそばに横たわらせ、震えそうになる身体を必死に立たせて、タオルを取りにバタバタと洗面所に駆け込んだ。

早く病院に連れて行かなきゃ、という焦りの気持ちでいっぱいだった私は、床にタオルが散乱してしまったことにも気付かずに、コタロウを連れて家を出ていた。



この時は慌てていて全く気付かなかったけど、いつの間にか割れてしまったらしい鋭く尖ったレンガの破片が、ベランダの端っこに落ちていた。