「理由もわからないのに避けられるなんて納得できない。こっち向いてちゃんと説明しろよ!」
「や、やだ……っ!」
「!」
先生に強く腕を引かれて目線が合ってしまった途端、先生が一瞬息を呑んだのがわかった。
慌てて顔をそらそうとしたけど……
「……んだよ、泣きたいのはこっちなんだけど」
「っ!?」
一瞬の出来事だった。
次の瞬間には、私の身体は虎谷先生の腕に包み込まれていた。
先生に触れられてしまうと、涙とともに一気に気持ちが溢れそうになってしまいそうになる私がいた。
……あんなに素敵な彼女がいるのに、何でこんなことするの?
意味がわからないのは私の方だよ……。
気持ちもないのに、簡単にこんなことしないでほしい。
私の肩を抱いたまま何も言わなくなった先生に、私は早くその手を離してほしくて、どうにかこうにか口を開く。
「……離してください。先生はコタに会いたいだけなんですよね?コタにこだわらなくてもネコちゃんなら周りにたくさんいるでしょう?先生ならきっと他のネコちゃんにもなついてもらえます。だから……コタロウのことは忘れて、他を当たってもらえませんか?」
「……何言ってんの?」
「……」
私は間違ってない。
正当な言葉を言っているでしょう?
それに、私は先生への気持ちを忘れなきゃいけないんだから、放っておいて欲しいの。
そう思えば思うほど涙が溢れてきてしまって、私はそれを先生に見られるのが嫌で、俯く。
ふるふるっと首を横に振ると、いつもより低音の、でもすごく心地のいい声で、虎谷先生がポツリと呟いた。

