「そうそう。私がコタロウくんを連れて行くまでは、虎谷先生、コタロウくんのチラシも配ってたみたいね。ワンちゃんママのお友だちが言ってたの。あんなに一生懸命頭を下げてお願いする姿は初めて見た、って」
「……」
あのチラシ、病院でも配っててくれたんだ……。
しかも、一生懸命頭を下げてくれていた?
コタロウのためにそこまでしてくれるなんて……。
そんなにコタロウを想ってくれていることが嬉しくなってしまって、涙が出そうになった。
先生にもう一度お礼を言いたい。
……でも、私には病院以外で会いに行く権利もないし、しばらくは病院に行くこともないはず。
いつか、コタロウのご飯を買いに行く時に看護師さんに言付けしよう。
本音は直接お礼を言いたいけど……仕事中に呼び出すわけにもいかないし、看護師さんに言うのがきっと一番いい、と私は心に決める。
「そんなにしてくださっていたなんて、全く知りませんでした……。教えてくださってありがとうございます。今度もう一度、お礼を言っておこうと思います」
「えぇ、それがいいわ……って、あら?……あれって、あらあらあら!」
「え?」
笑顔はありながらも驚いた表情を浮かべた堺さんが公園の中を覗き込んでいて、私も何があるのかとその方向に目線を向けた。
公園の中には涼しくなってくる時間だからか、ワンちゃんの散歩をしている人の姿が多いように感じる。
一通り公園を見渡して、最後に目に映ったのは……

