今日は子猫に会うために璃世の家に通い始めて5回目だ。
「コタロウ~」
私がその子猫を飼うと決めた日から数日をかけて悩みに悩んで付けた名前を呼ぶ。
“虎太郎(コタロウ)”は、“虎のように強くなりますように”という願いを込めて付けた名前だ。
名前を付けたとはいっても、コタロウから私に寄って来ることはないし、未だに一度も触れることもできていないけど。
ただ、名前を呼べば反応はしてくれるようになったし、私の自惚れかもしれないけど最初の頃よりも目を合わせてくれる時間が増えた気がするんだ。
「美夜子、今ちょうど離乳食あげるところだったの。コタロウにあげてみない?」
「いいの?大丈夫?」
「大丈夫よ。コタロウもだいぶ美夜子に慣れたみたいだし。これ」
私は璃世が差し出してくれた離乳食と水の入ったお皿を受け取る。
璃世がご飯を持ってきてくれたのがわかったからか、子猫たちが一目散に掛け寄ってきて、にゃあにゃあと大合唱が始まる。
璃世は「ほら、ひとりずつ順番にね」とくすくすと笑いながら、子猫1匹ずつ順番にお皿を置いていく。
コタロウはというと他の子猫たちの後ろでご飯に近付けずに、ただ様子を窺っている。
コタロウが他の子猫たちの後ろによくいるのは、身体が一番小さいことも関係しているのかもしれない。
「生まれてから2ヶ月弱経って離乳食もそろそろ終わる頃だし、そろそろ親離れの時期なのよね。みんな引き取り手も無事に見つかったし、あと少しでお別れかと思うと寂しくなるけど、この子たちが新しい生活に早く慣れるためだもんね」
どこか寂しげに笑いながら璃世が3匹分の離乳食と水を床に置き終わると、子猫たちはお皿に顔を近付けてペロペロと舐めてご飯を平らげていく。

