不安な表情を浮かべていると、ゆっくりと洸ちゃんが薄く目を開け、私の方へ手を伸ばした。





「りょ、涼花、ごめん……」


「何?何で謝るの?洸ちゃん……」




もしかして、私がピンチの時に助けられなかったから?





(そんなの……謝る必要ないのに)





洸ちゃんの手を両手でぎゅっと握ると、私の中で暖かい何かが膨らんでいくのが分かった。




幸せな溢れそうな気持ち。




洸ちゃんも同じ事を考えてくれてるんだろう。




切なげな目で、私に言った。






「何か食べ物を……ちょうだい。カ……カレーが良い。カレーが……。牛多目で。……後、福神漬は……いらないから。ぎゅ……牛、多目で……」






側に来ていた玉川君と相沢さんが、その姿を見て落ち着いた口調で話す。





「こりゃ限界越えてるわ。ダイエットしてんだろうけど」

「橘、俺保健室連れてくわ」




有無を言わさず、私は黙って頷いた。