私の彼氏はおデブさん

(何でこんな事に……もう帰りたい……)





真っ暗なシアターの中に入ると、階段を上りながら自分たちの席を探す。






「あ、あった、ここだ」






そして席を見つけて先に座る清武君の横の椅子に憂鬱なまま座っていると、私の横に藤崎君が座った。







(うわ、近い……ドキドキする……)







顔を見たいけど見るのも恥ずかしくてスクリーンを見つめていると、相沢さんと藤崎君の会話が聞こえてくる。






「前は青ちゃんと来てたんだけどなぁ〜。はぁ〜、優希憂鬱〜」


「何が憂鬱だ。マコを狙ってるくせに」


「何だと!?てめぇ!あんただって涼花と前観に来てたんじゃねーのかよ!別れて恋しくなったから、今日誘ったんじゃねーのか!」







話し声のした後、チラッと藤崎君の方を見ると、ちょうど良く藤崎君と目が合った。






藤崎君も私と目が合った事に驚いたみたいだけど、すぐに落ち着いて目をそらす。






(恋しいと思ってるのは、私の方だ……)