私の彼氏はおデブさん

* * *

映画館はカップルデーという事もあって人で賑わっていた。


着くなり清武君がその事に気づいて、話し始める。






「今日はカップルだと1000円だね。どうする?俺と優希、洸太と橘さんに分かれてチケット買う?」


「橘とカップルなんて嫌だ」







藤崎君、即答……。

そんなに嫌がらなくても良いのに、凹む……。




(やっぱり私の事好きとか、期待するだけ無駄みたい……)






「洸太、そんな事言うなよ。じゃあ俺が橘さんと一緒に買うから、優希と買う?」


「何?相沢と俺が……カップル?」







一人凹んで泣きそうになりながら、私は清武君と藤崎君の会話に耳を傾けた。




藤崎君は急に冷や汗をかくと、チラッと相沢さんを見ている。



相沢さんはというと……






「ポップコーン二つとぉ、ホットドッグ二つとぉ、チュロス四つとぉ、ええっとそれからぁ……」






いつの間にか売店で食べ物を調達していた。







「あいつとも絶対嫌だ」


「もう洸太、わがまま言うなよ!決まりね!橘さん、チケット買いに行こう!」






白い目で相沢さんを見ながら藤崎君が言うと、呆れたように言う。



そんな清武君に私は「うん」と返事をして、チケット売り場の方へ歩いていく清武君について行った。