私の彼氏はおデブさん

「デート断ったんだ」


「ふぅん」






藤崎君は窓の外へ視線を向けながら、私の話しに相槌を打った。



その後、私達には沈黙が流れる。






(話が続かない……前だったら普通に会話出来てたんだけどな……)






今はあんまり目も合わせてくれない……。





目が合わないまま藤崎君の顔をじっと見ながら、私は思い切って口を開こうとした。

その時。






「代わりに俺と観に行く?」


「へ?何を?」


「……映画に決まってるし」


「何で……?」






理由が分からなくて質問すると、藤崎君からジロッと睨まれる。





「勘違いすんなよ。俺は橘に仕返ししたいだけ」


「仕返し?」






(そうだよね……藤崎君から誘われる理由なんてそんな事だよね……)






がっくりと頭をうな垂れると、相変わらず無愛想な藤崎君の声が降ってきた。






「今日の放課後、下駄箱で」