「うん、分かった……やめとくよ」







私がそう答えると、玉川君はニコニコ嬉しそうに微笑んだ。







「絶対だからね。あ、後さ……俺とは今までみたいに接してよ?気まずくなるのとか嫌だからさ」


「うん。分かった」








私がニコッと微笑むと、不安げだった玉川君もまた安心したように笑う。







「じゃ、俺もう帰るから。また明日ね、橘」


「うん。バイバイ」







そのまま玉川君はソファから立ち上がろうとしたけど、「あ、そういえば」と話しながら座り直した。







「母ちゃんが今度ケーキ作って橘にあげたいって言ってるんだけど、食べる?」


「えっ、本当!?私ケーキ大好き!」


「……え?も、もう一回言って」







何故か喜んだ私をまじまじと見つめながら、玉川君は聞き返してくる。





(何でだろう……)







不思議になりながらもう一度言うと……







「ケーキ……大好き」


「ありがとう!ごめん、じゃっ!」







顔を真っ赤にして、いきなり玉川君は逃げ去るように部屋から出ていった。





(何で玉川君がありがとうを……?)






やっぱり玉川君って謎だ。